Eli Lilly and Companyの連結決算:通年の売上推移
年度 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
1999年 | 100.03億ドル | 32.45億ドル [32.4%] | 27.21億ドル [27.2%] |
2000年 | 108.62億ドル | 38.58億ドル [35.5%] | 30.57億ドル [28.1%] |
2001年 | 115.42億ドル | 35.06億ドル [30.4%] | 27.80億ドル [24.1%] |
2002年 | 110.77億ドル | 34.57億ドル [31.2%] | 27.07億ドル [24.4%] |
2003年 | 125.82億ドル | 32.61億ドル [25.9%] | 25.60億ドル [20.3%] |
2004年 | 138.58億ドル | 29.41億ドル [21.2%] | 18.10億ドル [13.1%] |
2005年 | 146.45億ドル | 27.17億ドル [18.6%] | 26.62億ドル [18.2%] |
2006年 | 156.91億ドル | 34.18億ドル [21.8%] | 26.62億ドル [17.0%] |
2007年 | 186.33億ドル | 38.76億ドル [20.8%] | 29.53億ドル [15.8%] |
2008年 | 203.78億ドル | -13.07億ドル [-6.4%] | -20.71億ドル [-10.2%] |
2009年 | 218.36億ドル | 55.87億ドル [25.6%] | 43.29億ドル [19.8%] |
2010年 | 230.76億ドル | 65.30億ドル [28.3%] | 50.70億ドル [22.0%] |
2011年 | 242.87億ドル | 55.29億ドル [22.8%] | 43.48億ドル [17.9%] |
2012年 | 226.03億ドル | 47.34億ドル [20.9%] | 40.89億ドル [18.1%] |
2013年 | 231.13億ドル | 53.70億ドル [23.2%] | 46.85億ドル [20.3%] |
2014年 | 196.16億ドル | 26.60億ドル [13.6%] | 23.91億ドル [12.2%] |
2015年 | 199.59億ドル | 26.89億ドル [13.5%] | 24.08億ドル [12.1%] |
2016年 | 212.22億ドル | 32.61億ドル [15.4%] | 27.38億ドル [12.9%] |
2017年 | 199.74億ドル | 20.03億ドル [10.0%] | -2.04億ドル [-1.0%] |
2018年 | 214.93億ドル | 35.35億ドル [16.4%] | 32.32億ドル [15.0%] |
2019年 | 223.20億ドル | 49.74億ドル [22.3%] | 83.18億ドル [37.3%] |
2020年 | 245.40億ドル | 60.58億ドル [24.7%] | 61.94億ドル [25.2%] |
2021年 | 283.18億ドル | 63.57億ドル [22.4%] | 55.82億ドル [19.7%] |
2022年 | 285.41億ドル | 71.27億ドル [25.0%] | 62.45億ドル [21.9%] |
2023年 | 341.24億ドル | 64.58億ドル [18.9%] | 52.40億ドル [15.4%] |
出所:イーライリリー。本決算期は12月末。
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平均利益率
イーライリリーの1999年から2022年までの営業利益率の平均が21.5%。比較として、ファイザーの2000年から2022年までの営業利益率の平均が23.5%。
会社の動向
- 1876年、米国インディアナポリスでイーライリリー・アンド・カンパニー設立。
- 1923年、世界で初めて動物由来インスリン製剤を大量生産のもとで販売開始。糖尿病治療薬への強みはここから始まる。
- 1943年、ペニシリンの量産技術を確立。普及により、それまで蔓延していた淋病や梅毒などの性病が世界的に減少していく。(なお、淋病はその後、ペニシリンが効きにくい性質へと変化)
- 1982年、世界初の遺伝子組み換えヒトインスリン製剤の誕生。
- 1996年、ジプレキサ(一般成分名:オランザピン)の開発により、統合失調症や双極性障害(躁うつ病)に対し、世界的に使用されるようになる。ジプレキサの成功はかなり大きかった。
- 2022年、新しいタイプの糖尿病薬「マンジャロ」が承認され、さらに2023年11月にマンジャロが肥満症薬としても認められ、株価急伸。株式時価総額で製薬メーカー世界トップへ。
- 2023年、世界で2番目のアルツハイマー治療薬「ドナネマブ」を承認申請。世界初の「レカネマブ」よりも期待値が高い。
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Eli Lilly and Companyの財政・経営状況
年度 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
2000年 | 146.90億ドル | 86.43億ドル [26.33億ドル] |
60.47億ドル [41.2%] |
2005年 | 245.80億ドル [50.47億ドル] |
136.84億ドル [64.97億ドル] |
108.96億ドル [44.3%] |
2010年 | 310.01億ドル [67.27億ドル] |
185.89億ドル [69.26億ドル] |
124.13億ドル [40.0%] |
2015年 | 355.69億ドル [44.52億ドル] |
209.79億ドル [79.78億ドル] |
145.90億ドル [41.0%] |
2020年 | 466.33億ドル [36.81億ドル] |
408.08億ドル [165.95億ドル] |
58.25億ドル [12.5%] |
2021年 | 488.06億ドル [39.09億ドル] |
396.51億ドル [168.84億ドル] |
91.55億ドル [18.8%] |
2022年 | 494.90億ドル [22.12億ドル] |
387.14億ドル [162.38億ドル] |
107.75億ドル [21.8%] |
出所:イーライリリー
- イーライリリーの業績は良いが、自己資本比率は低い。これは株主還元を優先している事が理由。業績好調なアメリカ企業は、財務健全化を無視して増配や自社株買いを行ったりする。アップルなども同様。
- 2023年12月時点のイーライリリーの株式時価総額は5377億ドルで製薬メーカー世界トップ。比較として、米国ファイザーは1514億ドル、米国メルクが2663億ドル、米国アッヴィが2719億ドル、米国ジョンソン&ジョンソンが3735億ドル。
全社員数とR&Dの推移
年度 | 従業員数(連結) | 研究開発費 |
---|---|---|
2010年 | 38350人 | 48.84億ドル |
2015年 | 41275人 | 47.96億ドル |
2020年 | 35000人 | 59.76億ドル |
2023年 | 43000人 | 93.13億ドル |
出所:イーライリリー
- 2022年度のイーライリリーのグローバル連結従業員数は3万9000人。比較として、ファイザーは8万3000人、メルクが6万9000人、アッヴィが5万人、日本のタケダ薬品は約4万9000人。
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収益構造・セグメント別の成績
領域 | 2020年/売上高 [売上比率(%)] |
2021年/売上高 [売上比率(%)] |
2022年/売上高 [売上比率(%)] |
---|---|---|---|
Diabetes (糖尿病関連) |
118.34億ドル [48.2%] |
131.87億ドル [46.6%] |
144.64億ドル [50.7%] |
Oncology (がん領域) |
53.19億ドル [21.7%] |
57.40億ドル [20.3%] |
56.66億ドル [19.9%] |
Immunology (免疫関連) |
24.61億ドル [10.0%] |
33.60億ドル [11.9%] |
33.43億ドル [11.7%] |
Neuroscience (精神疾患) |
18.31億ドル [7.5%] |
18.97億ドル [6.7%] |
15.45億ドル [5.4%] |
出所:イーライリリー
- 糖尿病関連は、イーライリリー全体売上の約半分を占める「強み」とするエリア。「トルリシティ」「ジャディアンス」「ヒーマログ」「ヒューマリン」などが売上の中心。
- がん関連は、「ベージニオ」や「アリムタ」が売上の軸。
- 免疫疾患関連は、「トルツ」「サイラムザ」が売上の多くを占める。
- 精神疾患は、かつては「ジプレキサ(一般成分名:オランザピン)」の売上が圧倒していたが、世界的に特許が切れた事で売上規模が縮小。しかし、2023年に承認申請したアルツハイマー治療薬「ドナネマブ」で反転を目指す。
医薬品別の収益構造
医薬品 | 2021年/売上高 [売上比率(%)] |
2022年/売上高 [売上比率(%)] |
---|---|---|
トルリシティ (糖尿病治療薬) |
64.71億ドル [22.9%] |
74.39億ドル [26.1%] |
ベージニオ (乳がん治療薬) |
13.49億ドル [4.8%] |
24.83億ドル [8.7%] |
トルツ (自己免疫疾患薬) |
22.12億ドル [7.8%] |
24.82億ドル [8.7%] |
ジャディアンス (糖尿病治療薬) |
14.91億ドル [5.3%] |
20.66億ドル [7.2%] |
ヒューマログ (インスリン製剤) |
24.53億ドル [8.7%] |
20.60億ドル [7.2%] |
ヒューマリン (インスリン製剤) |
12.26億ドル [4.3%] |
10.19億ドル [3.6%] |
サイラムザ (抗体薬) |
10.33億ドル [3.6%] |
9.71億ドル [3.4%] |
アリムタ (抗がん剤) |
20.61億ドル [7.3%] |
9.27億ドル [3.2%] |
オルミエント (関節リウマチ薬) |
11.15億ドル [3.9%] |
8.30億ドル [2.9%] |
マンジャロ (糖尿/肥満治療薬) |
– | 4.82億ドル [1.7%] |
出所:イーライリリー
- 2型糖尿病治療薬「トルリシティ」の売上は2022年度で全体売上の26.1%を占める最中核製品。特許切れは2027年だが、新薬も次々と投入できているため、投資家からは不安視されていない。
- 乳がん治療薬「ベージニオ」は薬が非常に高く、それが高い売上をもたらす。(ベージニオ150mg[1錠]あたり8616円)。競合はファイザーの「イブランス」。
- 新しいタイプの糖尿病治療薬「マンジャロ」は、2023年11月に「肥満症治療薬」としても米FDAに承認され、今後はイーライリリーの中核製品となる。
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国内と外国への売上比率
国/地域 | 2010年/売上高 [全体比(%)] |
2015年/売上高 [全体比(%)] |
2022年/売上高 [全体比(%)] |
---|---|---|---|
アメリカ | 128.65億ドル [55.8%] |
100.97億ドル [50.6%] |
181.90億ドル [63.7%] |
ヨーロッパ | 51.06億ドル [22.1%] |
98.61億ドル [49.4%] |
42.99億ドル [15.0%] |
日本 | 16.16億ドル [7.0%] |
17.47億ドル [6.1%] |
|
中国 | 37.87億ドル [16.4%] |
14.52億ドル [5.1%] |
|
その他 | 28.52億ドル [10.0%] |
出所:イーライリリー
- グローバル企業とはいえ、お膝元アメリカへの売上が特に多い。アメリカはお国柄として肥満の問題を抱え、比例して糖尿病患者も多い事が理由だと思われる。
- 糖尿病薬「マンジャロ」が、「肥満症薬」「やせ薬」としての使用が広がっているため、アメリカや中国などの肥満の割合が高い国の売上増が見込める。
グローバルメガファーマの研究開発費
企業 | 2010年/研究開発費 [売上に対する割合(%)] |
2015年/研究開発費 [売上に対する割合(%)] |
2022年/研究開発費 [売上に対する割合(%)] |
---|---|---|---|
イーライリリー (米国) |
48.84億ドル [21.2%] |
47.96億ドル [24.0%] |
71.90億ドル [25.2%] |
ファイザー (米国) |
94.13億ドル [13.9%] |
76.91億ドル [15.6%] |
114.30億ドル [11.4%] |
メルク (米国) |
111.11億ドル [24.2%] |
67.04億ドル [17.0%] |
135.48億ドル [22.9%] |
アッヴィ (米国) |
24.95億ドル [16.1%] |
42.85億ドル [18.7%] |
65.10億ドル [11.2%] |
ロシュ (スイス) |
90.50億スイスフラン [19.1%] |
93.32億スイスフラン [19.5%] |
140.53億スイスフラン [22.2%] |
ノバルティス (スイス) |
90.70億ドル [17.6%] |
89.35億ドル [18.1%] |
99.96億ドル [19.8%] |
武田薬品 (日本) |
2889億円 [20.4%] |
3459億円 [19.1%] |
6333億円 [15.6%] |
出所:各メーカーの決算報告。
- イーライリリーの2010年以前の研究開発費は、2000年は20.18億ドルで売上比率18.6%。2005年は30.25億ドルで売上比率20.7%。
- イーライリリーの強みは研究開発力。その開発力は「お金」の話しだと言えるが、リリーは競合のメガファーマと比較して費用対効果が良い。(一つの創薬における収益性が高い)
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