astellasの連結決算:通年の売上推移
年度 | 売上高・収益 | 営業利益 [営業利益率(%)] | 純利益・最終損益 [純利益率(%)] |
---|---|---|---|
2005年 | 8793億円 (4月 山之内製薬と藤沢薬品の合併でアステラス誕生) | 1930億円 [21.9%] | 1036億円 [11.8%] |
2006年 | 9206億円 | 1905億円 [20.7%] | 1313億円 [14.3%] |
2007年 | 9726億円 | 2759億円 [28.4%] | 1774億円 [18.2%] |
2008年 | 9657億円 | 2503億円 [25.9%] | 1710億円 [17.7%] |
2009年 | 9749億円 | 1864億円 [19.1%] | 1223億円 [12.5%] |
2010年 | 9539億円 | 1191億円 [12.5%] | 677億円 [7.1%] |
2011年 | 9693億円 | 1315億円 [13.6%] | 782億円 [8.1%] |
2012年 | 9819億円 | 1216億円 [12.4%] | 925億円 [9.4%] |
2013年 | 1兆1399億円 | 1168億円 [10.2%] | 909億円 [8.0%] |
2014年 | 1兆2473億円 | 1857億円 [14.9%] | 1359億円 [10.9%] |
2015年 | 1兆3727億円 | 2490億円 [18.1%] | 1937億円 [14.1%] |
2016年 | 1兆3117億円 | 2608億円 [19.9%] | 2187億円 [16.7%] |
2017年 | 1兆3003億円 | 2133億円 [16.4%] | 1647億円 [12.7%] |
2018年 | 1兆3063億円 | 2439億円 [18.7%] | 2223億円 [17.0%] |
2019年 | 1兆3008億円 | 2440億円 [18.8%] | 1954億円 [15.0%] |
2020年 | 1兆2495億円 | 1361億円 [10.9%] | 1206億円 [9.7%] |
2021年 | 1兆2962億円 | 1557億円 [12.0%] | 1241億円 [9.6%] |
2022年 | 1兆5186億円 | 1330億円 [8.8%] | 987億円 [6.5%] |
2023年 | 1兆6036億円 | 255億円 [1.6%] | 170億円 [1.1%] |
出所:アステラス製薬
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平均利益率
アステラス製薬の2005年から2022年までの営業利益率の平均が16.8%。
比較として、武田薬品の2004年から2022年までの営業利益率の平均が16.7%。第一三共の2005年から2022年までの営業利益率の平均が11.1%。エーザイの2002年から2022年までの営業利益率の平均が11.9%。
比較として、武田薬品の2004年から2022年までの営業利益率の平均が16.7%。第一三共の2005年から2022年までの営業利益率の平均が11.1%。エーザイの2002年から2022年までの営業利益率の平均が11.9%。
会社の動向
- 2005年4月、山之内製薬と藤沢薬品工業が合併し、アステラス製薬が誕生。
- アステラスの強みは、抗がん剤、泌尿器系の医薬品。特に前立腺がん治療薬「イクスタンジ」はアステラスの売上高の約4割を占めるキラー製品。しかし、2027年頃から特許切れの問題アリ。
- 全体的な収益において、いくつかの医薬品への依存度が高く、新薬開発の遅れに不安を抱える。
- 安定的な収益確保のため、近年は有望な海外の中堅企業やベンチャー/スタートアップ企業の買収を進め、製品ポートフォリオ拡充に急ぐ。
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astellasの財政・経営状況
年度 | 総資産 [現金・手元資金] |
負債総額 [有利子負債] |
自己資本・純資産 [自己資本比率(%)] |
---|---|---|---|
2005年 | 1兆5845億円 [4734億円] |
3676億円 [10億円] |
1兆2169億円 [76.8%] |
2010年 | 1兆3351億円 [1755億円] |
3140億円 [なし] |
1兆211億円 [76.4%] |
2015年 | 1兆7993億円 [3600億円] |
5401億円 [なし] |
1兆2592億円 [70.0%] |
2020年 | 2兆2736億円 [3261億円] |
8875億円 [なし] |
1兆3861億円 [61.0%] |
2021年 | 2兆3324億円 [3160億円] |
8721億円 [なし] |
1兆4603億円 [62.6%] |
2022年 | 2兆4565億円 [3768億円] |
9485億円 [なし] |
1兆5080億円 [61.4%] |
出所:アステラス製薬
- 有利子負債はなし。現金/手元資金も十分に保有。財務的には問題なし。
- キラー製品の特許切れや新薬のリリースに不安があるが、それでもすぐに財政難(経営難)になる事はない。
- アステラス製薬の2023年11月時点の株式時価総額が約3兆2200億円。
連結社員数と研究開発投資について
年度 | 従業員数(連結) | 平均年収 | 設備投資費 | 研究開発費 |
---|---|---|---|---|
2005年 | 14965人 | 946万円 | 197億円 | 1420億円 |
2010年 | 16279人 | 1001万円 | 351億円 | 2173億円 |
2015年 | 17217人 | 1069万円 | 340億円 | 2257億円 |
2020年 | 15455人 | 1051万円 | 337億円 | 2245億円 |
2022年 | 14484人 | 1061万円 | 365億円 | 2761億円 |
出所:アステラス製薬
- 2022年度のアステラスの連結従業員数は14484人。比較として、武田薬品は49095人、第一三共は17435人。エーザイは11076人。
- 売上高に対する研究開発費は競合と比較して平均レベル。
再編と企業買収の動向
2006年4月、一般用医薬品を手掛ける「ゼファーマ」を第一三共に譲渡。医療用医薬品に注力する事が理由。プレコール、ガスター10、マキロンなどの有名商品が第一三共の手中となる。
2007年11月、抗体医薬品の開発を行うアメリカのバイオベンチャー「アジェンシス」を3億8700万ドルで買収。
2010年5月、米国OSIファーマシューティカルズを約40億円で買収合意。買収先がもつ主力の分子標的抗癌剤「タルセバ」を獲得。その他、癌領域の創薬インフラ、アメリカにおける販売網なども確保。
2019年12月、医療系スタートアップの米オーデンテス・セラピューティクスを約30億ドルで買収。
2023年7月、米アイベリック・バイオ社を約59億ドルで買収。主に眼科領域の新薬を獲得。
2023年11月、米バイオ医薬品企業プロペラ・セラピューティクスを1億7500万ドルで買収すると発表。買収先は前立腺がん向けの開発に強み。
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国内と外国への収益割合
年度 | 日本 | 米国 | 欧州/カナダ | 中国/香港/台湾 | その他 |
---|---|---|---|---|---|
2005年 | 54.7% | 21.8% | 19.6% | 3.9% | |
2010年 | 55.7% | 18.0% | 19.1% | 5.4% | |
2015年 | 35.2% | 33.2% | 24.0% | 6.6% | |
2020年 | 22.3% | 37.9% | 23.5% | 4.7% | 8.9% |
2021年 | 20.0% | 41.5% | 23.6% | 5.1% | 9.2% |
2022年 | 17.3% | 43.0% | 23.6% | 5.3% | 9.5% |
2023年 | 16.8% | 43.0% | 23.7% | 5.3% | 10.8% |
出所:アステラス製薬
- 日本国内の売上が停滞ぎみ。薬価の引き下げ、ジェネリックへの移行などが要因。
- アメリカへの売上成長が力強い。アメリカは肥満問題の他に、よく薬を飲むお国柄がある。
- アジア/新興国の需要は未だ弱い。世界的な医療格差が縮小するには、まだ時間がかかる。
製品別の販売実績
製品 | 2022年/売上高 [全体比(%)] |
製品の性質 |
---|---|---|
イクスタンジ | 6611億円 [43.5%] |
一般成分名はエンザルタミド。前立腺がん治療薬。(2027年頃から特許切れ) |
パドセブ | 444億円 [2.9%] |
抗悪性腫瘍剤。がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌への治療剤。 |
ゾスパタ | 466億円 [3.1%] |
抗悪性腫瘍剤。再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病への治療剤。 |
エベレンゾ | 32億円 [0.2%] |
腎性貧血治療薬。 |
ベタニス ミラベトリック ベットミガ |
1886億円 [12.4%] |
一般成分名「ミラベグロン」。過活動膀胱治療薬。国や地域によって製品名が違う。 |
プログラフ | 1988億円 [13.1%] |
一般成分名「タクロリムス」。臓器移植向けの免疫抑制剤。 |
出所:アステラス製薬
- 2022年では、アステラスの売上高の約4割超を前立腺がん向け治療薬「イクスタンジ」が占めるが、特許切れが2027年に迫る。そして、その売上をカバーする次の薬品開発が遅れているとされる。
- 過活動膀胱治療薬「一般成分名:ミラベグロン」の売上も多い。前立腺や膀胱などへの治療薬を持つ事からアステラスは泌尿器系に強みがあると言われる。
- タクロリムス(製品名:プログラフ)は、アステラス製薬が創製した免疫抑制剤。あらゆる臓器移植において世界中で使用され、高い売上をキープ。アトピー性皮膚炎治療目的の軟膏剤(プロトピック軟膏)は、マルホに販売権を譲渡。
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日本の医薬品会社の研究開発費を比較
企業 | 2010年/研究開発費 [売上比率(%)] |
2015年/研究開発費 [売上比率(%)] |
2022年/研究開発費 [売上比率(%)] |
---|---|---|---|
アステラス | 2173億円 [22.8%] |
2257億円 [16.4%] |
2761億円 [18.2%] |
武田薬品 | 2889億円 [20.4%] |
3459億円 [19.1%] |
6333億円 [15.7%] |
第一三共 | 1943億円 [20.1%] |
2087億円 [21.2%] |
3416億円 [26.7%] |
大塚HD | 1645億円 [15.1%] |
2010億円 [14.1%] |
2752億円 [15.8%] |
エーザイ | 1450億円 [18.9%] |
1223億円 [22.3%] |
1729億円 [23.2%] |
中外製薬 | 547億円 [14.4%] |
819億円 [16.4%] |
1437億円 [11.4%] |
塩野義製薬 | 509億円 [18.0%] |
497億円 [16.0%] |
1023億円 [24.0%] |
ファイザー (アメリカ) |
94.13億ドル [13.9%] |
76.90億ドル [15.7%] |
114.30億ドル [11.4%] |
ロシュ (スイス) |
90.50億スイスフラン [19.1%] |
93.32億スイスフラン [19.4%] |
140.53億スイスフラン [22.2%] |
メルク (アメリカ) |
111.11億ドル [24.2%] |
67.04億ドル [17.0%] |
135.48億ドル [22.9%] |
ノバルティス (スイス) |
90.70億ドル [17.6%] |
89.35億ドル [18.1%] |
99.96億ドル [19.8%] |
アッヴィ (アメリカ) |
24.95億ドル [16.0%] |
42.85億ドル [18.7%] |
65.10億ドル [11.2%] |
イーライリリー (アメリカ) |
48.84億ドル [21.2%] |
47.96億ドル [24.0%] |
71.90億ドル [25.2%] |
出所:各メーカーの決算報告、有価証券報告書。
- 製薬メーカーの業績は、研究開発費の規模と比例する中、アステラスの研究開発費は、国内企業で3位級レベル。
- 国内製薬メーカーで研究費予算トップは武田薬品工業。元々日本トップだったが、2018年にシャイアーを買収した事で会社規模が拡大。比例して研究開発費も増大。
国内製薬メーカーの平均年収の比較
企業 | 2010年 | 2015年 | 2020年 | 2022年 |
---|---|---|---|---|
アステラス | 1001万円 | 1069万円 | 1051万円 | 1061万円 |
武田薬品 | 925万円 | 960万円 | 1077万円 | 1097万円 |
第一三共 | 975万円 | 1092万円 | 1117万円 | 1119万円 |
エーザイ | 1094万円 | 1093万円 | 1042万円 | 1050万円 |
大塚HD | 1197万円 | 1116万円 | 992万円 | 1040万円 |
塩野義製薬 | 801万円 | 890万円 | 903万円 | 910万円 |
中外製薬 | 931万円 | 935万円 | 1100万円 | 1214万円 |
出所:各メーカーの有価証券報告書のデータ。
- アステラス製薬を含め、国内の製薬メーカーの平均年収はどこも大きな差はない。外資系と言えるスイスのロシュ傘下の中外製薬のみが、やや成果報酬が高い。
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